ゴームリーと佇む

 

アントニー・ゴームリー氏の鋳像が展示中の神奈川県立近代美術館葉山で、ワークショップ「ゴームリーと佇む 『音点(おとだて)』」が行われました。らくだスタジオは記録映像の撮影を行いました。
Hayama_Gormley-WS1_2012-12-16
サウンド・アーティストの鈴木昭男氏を講師としてお迎えして、屋外でお茶を点てる「野点」のように、像の設置されている葉山館周囲の音をゆっくりと鑑賞する「音点」が行われました。
葉山館は海と山に挟まれ、自動車の走る道路や民家もあり、耳を澄ませてみると驚くほど様々な音が聞こえてきます。
葉山館では来年3月頃まで像の展示を行なうようです。また葉山館では今後も興味深いワークショップが行われる予定です。公式ページから今後のスケジュールや最新の情報の確認ができます。
夏に設置をしたゴームリー像も、潮風の影響でよく見ると趣が変わって来ました。一度訪れたことのある方も、ワークショップに参加して、変化した表情を鑑賞してみてはいかがでしょうか。
(中岡)
  • ワークショップ(2)1月20日「形の内と外 – 形をとる」
  • ワークショップ(3)2月2日「能を体験しよう」

らくだスタジオ ホームページ (http://www.rakudastudio.com/)

  • らくだスタジオではワークショップの撮影を承っております。お気軽にお申し付けください。

なんとかナーレ2012

2012年11月30日から12月2日の3日間、横浜国立大学附属鎌倉小学校で「なんとかナーレ2012」が行われました。
「なんとかナーレ」は鎌倉小学校という普段から使われている小学校をまるごとアートスペースにしてしまうという試みです。

2009年に最初のなんとかナーレが開催されて、今回で3回目となりました。らくだスタジオでは、その3回すべてを記録映像の撮影として参加しています。

写真①:グラウンド
写真①:グラウンド
校門をくぐると、グラウンドに白線で描かれた「妄想の都市」が目に入ります(滝沢達史さんによる『Down Town』『妄想都市』)
写真②:校舎内の作品
写真②:校舎内の作品

校内の至る場所に、アーティストによる作品と生徒による作品が見られます。作品のジャンルも、インスタレーション・絵画・映像・音楽・写真と多種多様です。写真②は、生徒たちによる素朴な質問に鑑賞者が返答を書いて瓶に入れるという作品です。

個人的に印象に残ったのが、6年1組の生徒たちの作品『光と影のインスタレーション』です。教室という空間を新聞紙と写真で埋め尽くしたものですが、テーマだけではなく照明や音響を含めて完成度の高いものでした。

写真③:体育館、ソロダンス公演の様子
写真③:体育館、ソロダンス公演の様子

写真③は、舞踏家の櫻井郁也さんによるソロ公演の様子です。ピアニストの寒川晶子さんの「ドの音しかでないピアノ」の演奏も相まって、独特の雰囲気をかもしていました。

大盛況のうちに幕を閉じた「なんとかナーレ」ですが、残念ながら今回で最後となるようです。3日目の大トリには校庭の真ん中で「こんな学校があったらいいのに」という「妄想」が書かれた布をキャンプファイヤーのように燃やしました。

生徒やアーティストだけではなく、教員や保護者や地域の方々も引きこんで行われたなんとかナーレですが、それぞれの中に様々な思いとなって残っているのだと思います。
(中岡)

写真④グラウンド、最終日大トリの直前の様子
写真④グラウンド、最終日大トリの直前の様子

 

『青色の画布』京都・立誠小学校上映会

11/10 ドキュメンタリー映画『青色の画布』京都上映会を開催しました。
2011年春に撮影、秋に完成した本作は、東京、横浜、長野県上田市を巡回し、今回、関西地区で上映の機会に恵まれました。※作品詳細は特設サイト

無言館の外観 無言館の中

今回の会場は京都河原町の繁華街にある元・立誠小学校。
この学校は、少子化とドーナツ化現象の影響により平成4年に廃校になった後、
まちづくり委員会の支えで現在ではアートスペースとして舞台公演やコンサートに貸出しされています。

元・立誠小学校
元・立誠小学校

元・立誠小学校

校舎3階にある畳の間で(普段はお茶会に使われるそうです)夜の京都の街を見下ろしながら上映スタート。以前から交流のある大阪在住の映画監督 奥村恵美子氏の呼びかけにより、多くの方々にお越し頂きました。アフタートークでは無言館館主の窪島誠一郎さんに、無言館の成り立ちとその想いを熱く語ってもらいました。
アフタートーク
写真提供:はやしようこ氏

窪島さんのお話をうかがい、学生さんたちの無念さ、それにそそがれている窪島さんの愛情、情熱がビシビシと感じられて、思いが変わりました。一度無言館にうかがいたくなっています。出演をされているみなさんのしっかりとした考え方に、自分を見つめ直すことを改めて教えて頂き感謝します。以下上映会アンケートより抜粋


「青色の画布」タイトル通り、空の青さと海の青さが過去、現在、未来を、時をこえて存在している中で、今の若者達が、「無言館」を一つの共通の美術館とし、自分自身の心の成長を、描き上げた作品だと感じました。


この作品中で描かれていた中学生の彼らの真っ直ぐさや、人間臭さに感動し、無言館を通じて思春期という言葉だけでは言い表すことのできない経験をすることができた彼らを正直羨ましく思う。

森内

東京都美術館フォーラム2012

11月23日に東京都美術館で「東京都美術館フォーラム2012」が行われました。らくだスタジオでは記録映像の撮影を行いました。

フォーラムのテーマは「コミュニケーションデザイン」ということで、美術館が人々をつなぐコミュニケーションの拠点になりうるかということを考えるフォーラムでした。

メトロポリタン美術館からジョセフ・ロー氏、テリーサ・ライ氏を迎えた講演では、ニューヨークのメトロポリタン美術館の先進的な試みが紹介されており、フォーラムのなかでも特に印象的でした。

実験的な取組のひとつとして紹介されていたのが、Connections と呼ばれるウェブサイトです。
ここではメトロポリタン美術館で働く人々が、ひとつのテーマといくつかの作品について個人的な見解を述べています。
語られている作品は、必ずしもその人の専門ではありません。そのことが内部でも当初は反撥を呼んだようですが、活動を続けていくうちに受け入れれたとそうです。
Connectionsの一例を見た後、作品はこういうふうに見なくてはいけないというような堅苦しさや、そのために感じる美術館に対する敷居の高さが取り払われたようなきがしました。プロジェクトを率いたテリーサ・ライ氏の意図も、おそらくそこにあったのではないでしょうか。

貯蔵する美術館から、市民へ向けて積極的に発信・開放していく美術館へ。美術館の新しい取り組み、面白い取り組みは今後ますます期待できると感じました。

Connections は以下のリンクの先から見ることができます。

Connections – The Metropolitan Museum of Art
http://www.metmuseum.org/connections/

(中岡)

アントニー・ゴームリー氏来日イベント 神奈川県立近代美術館葉山

11/4に近代美術館・葉山館にてアントニー・ゴームリー氏来日イベントが行われました。らくだスタジオはその記録映像の撮影を行いました。
写真1:作品の前で解説をするゴームリー氏:提供・藤島亮氏
写真1:作品の前で解説をするゴームリー氏:提供・藤島亮氏
葉山館には2体のゴームリー像が立っています。ひとつは地面に立っている像で、もうひとつは屋上にたっている像です。前者は私たちと同じ地面に立っており、触れることができる。そして後者は近づくことも触れることも出来ないーーゴームリー氏はこの非対称性を強調していました。
写真2:作品に手を当てるゴームリー氏 :提供・藤島亮氏
写真2:作品に手を当てるゴームリー氏
:提供・藤島亮氏
2つ目の写真は、ゴームリー氏が地面に立っている方の像を自らの手で触れているところです。この日の葉山は天候に恵まれ、日中は心地良い太陽の光が降り注いでいました。そのため鉄でできた像は熱を帯びており、ゴームリー氏も他の方たちに実際に触れてそのことを感じてほしいとおっしゃっていました。
「作品に触れて、その温度を感じて欲しい」ゴームリー氏の作品の特殊性がみてとれる印象的な場面でした。
神奈川県立近代美術館・葉山では3月初頭まで作品を設置している予定です。作品の温かさーあるいは冷たさーを感じるために、まだ直接触っていない方は実際に伺ってみてはいかがでしょうか。(中岡)
公式サイト:

 

アントニー・ゴームリー 彫刻プロジェクト IN 葉山

現在、神奈川県立近代美術館葉山館では「アントニー・ゴームリー 彫刻プロジェクト IN 葉山 TWO TIMES - ふたつの時間」が行われています。らくだスタジオでは、アーカイブ映像の制作として本プロジェクトに携わっています。

葉山館のすぐそばの海に対峙するように一体(写真1)、屋上で山に向かう形で一体、合わせて二対の鋳像が設置されています。この鋳像はアントニー・ゴームリー氏本人の体の型をとって作られています。触ってみると、中身が空洞ではなくしっかりと詰まっているのがわかります。
ゴームリー像
写真1:葉山、2012/8/18
らくだスタジオでは今年の8月に、鋳像の設置作業の撮影を行いました。鋳像を安定させるために、海辺の一体には地中にコンクリートの台を埋め込み、屋上のものにも頑丈な土台が作られています。
鑑賞のおすすめスポットは、東屋前の鋳像から見上げて、屋上のもうひとつの像が見える所です(写真2)。二体が向かい合うのではなく、それぞれ海と山を見ているのが面白い点だと感じました。
写真2:葉山、2012/8/18
写真2:葉山、2012/8/18
展示は2013年3月初旬まで行われるようです。写真などで見るものと、実際に見て触ってみるのでは違う印象ですので、興味をお持ちの方はぜひ脚を運んでみてはいかがでしょうか。
(中岡)
イベントなどの最新情報はオフィシャルサイトをご確認ください。

アンドロイド版『三人姉妹』

青年団+大阪大学ロボット演劇プロジェクト、アンドロイド版『三人姉妹』の上演が10月20日から吉祥寺シアターにて行われます。らくだスタジオでは、研究用映像資料の撮影として本プロジェクトに関わらせていただいています。

出演するアンドロイドは「ジェミノイドF」と「ロボビーR3」です。ジェミノイドFはニュースで取り上げられているのを再三見ており、日本のアンドロイド技術はすごいなあと思っていましたが、実際に見てみると精巧さに驚きました。特に撮影中にカメラをとおして見ていると、ふとアンドロイドであるということを忘れてしまうほどです。

平田オリザさんの演出する青年団の演劇では、会話の微妙な「間」やタイミングというのが演出上とても重要になっており、ジェミノイドFやロボビーR3がこの高度なやりとりについていけるのか、というところも見所のひとつだと思います。自然体に振舞っているように見える役者さんたちも、立ち位置や動くタイミングはすべて計算された演出が施されています。ロボビーの動きはリモコンではなく自律して動いているようなので、このタイミングに合わせるのは大変そうです。

詳しいスケジュールや、チケットの予約などにつきましては、吉祥寺シアターや青年団のホームページをご確認ください。
(中岡)

吉祥寺シアター、2012/10
吉祥寺シアター、2012/10

アンドロイド版『三人姉妹』
原作:アントン・チェーホフ
作・演出:平田オリザ
テクニカルアドバイザー:石黒浩(大阪大学&ATR石黒浩特別研究室)
2012年10月20日(土)~11月4日(日)、吉祥寺シアター

かつては家電メーカーの生産拠点があり、大規模なロボット工場があった日本の地方都市。
円高による空洞化で町は衰退し、現在は小さな研究所だけが残っている。
先端的ロボット研究者であった父親の死後、この町に残って生活を続けている三人の娘たち。
チェーホフの名作『三人姉妹』を翻案し、日本社会の未来を冷酷に描き出す、アンドロイド演劇最新作。

 

『青色の画布』8/8上田映劇上映会

 

8/8に上田映劇で開催された「青色の画布」上映会は、実行委員会のご尽力のもと大成功に終わりました。来場者数120名、座席は一杯になりました。遅い時間にも関わらず最後までご鑑賞頂きありがとうございました。
上映会の後は、無言館 館主の窪島誠一郎氏をお呼びしてトークショー。多くのアンケートを頂きましたので、ここで一部ご紹介します。
・素晴らしい映画でした。中学の頃の自分の気持ちを重ねあわせてみていました。同じ年代の子ども達にも見てもらいたいなと思いました。今の苦しい気持ち、自分一人が抱えているのではないということを感じることができるのではないしでしょうが。
・この小学校の子どもたちは幸せだと思う。絵と向き合うことで、自分と向き合っている。多感なこの頃に、こうした経験をしたこと、得がたい幸せだと思う。こうした取り組みが広がっていくことで、学校も変わっていくのではと思う。沢山の方に見てもらいたい映画です。
・人の成長を見ることができた、そんな思いです。子ども(青少年)の素直で、複雑な心の動きがとても印象的でした。絵を見て語ることが、こんなに人の個性をあらわすのはおもしろいと思いました。絵の持つパワー、役割を感じました。
最後になりましたが、本上映会にご協力くださった信州上田上映実行委員会の皆様に心から感謝致します。
(森内)
上田映劇、2012/8/8
上田映劇、2012/8/8